2012年4月11日水曜日

伊里前川ざわ漁・石積みを体験させてもらいました。

RQのボランティア活動の一環として、歌津伊里前川で漁師の千葉さんのシロウオ漁のざわ作りの手伝いをさせていただきました。
シロウオは普段海に棲息してますが早春に川を遡流して産卵します
この遡流してきたシロウオをざわという川の中に積まれた石組みを使って追い込み獲るわけです。シロウオは日本各地で獲れる魚ですがこのざわ漁はとてもめずらしい漁法だそうです。





例年石組みを組んでいた流域は地震の際の地盤沈下で海水になり、そして深くなってしまったので、以前よりも上流にざわを作ることになります。
適したサイズの石が津波で流され、例年より手間のかかる石積みを体験させていただきます。千葉拓さん、スパイダーさん、ぼくの3人で河原の石をひたすら運び始めたのですが石一個一個がかなり重たく、しんどい作業でした。
これが地元ではおばあちゃんの仕事だというから驚きです。千葉さんとスパイダーさんは石に付着してる魚の卵やカキの子供、泳いでる稚魚を発見しては川が以前の状態に戻ってきていることを確認して喜びの表情を浮かべていました。
ぼくは無心でひたすら石をうしうし運んでた訳ですが、震災直後の川の状態を知らないにしても、自然を愛でる心が足りないなとちょっと反省。

シロウオ漁新規参入の千葉さんは今後いろいろ試行錯誤していこうという状況の中、ぼくに自由に石組みを作らせてくれました。やたら石を使い見た目は丈夫そうな石組みが出来上がり千葉さんにも褒められ心の中で「えっへん」と思ってたのですが、生態系観察を兼ねて下流に見に行ったプロの石組みとの違いに愕然としました。
少ない数できれいに高く積み上げられた石組みはアートそのもの、これは美しい。
実際に漁が始まるのは例年だと(去年は出来なかったけど)4月20日過ぎなのでその光景は見る事が出来ず、まことに残念。川の地形や生態系が津波で変わり、その復元には長い年月がかかります。今年シロウオがどこまで上ってくるかはその場になってみないとわからないそうです。
でも、三陸の漁師達の負けない気持ちはきっと天に届くと信じてやみません。
その日の夜はさえずりの谷のスパイダーさんのテント小屋で3人で語り合い(ぼくはほぼ聞き手でしたが)すばらしい時間を過ごさせていただきました。
これだけ大きな傷跡が残されたのにも関わらず、震災のおかげで地元に新しい風が吹いたことや、ゼロからスタートできる喜びが残ったことを語る千葉拓さんの自然と寄り添って生きようとする姿勢に心打たれました。



 (RQボラ あまね)